タイトル

佐藤さんのお役立ち気象歳時記

さわやかな天気

気象庁の用語についてのHPを見ると、「『さわやかな天気』は、原則として夏期や冬期には用いない。 秋に移動性高気圧におおわれるなどして、 空気が乾燥し気温も快適な晴天の場合に用いることが多い」となっている。 また、新版NHK気象ハンドブック(新版とあるが1996年版)には、 もっとはっきりと「さわやかな天気の『さわやか』は秋の季語であるので、 初夏のころに用いると抵抗感を持つ人がいる。 初夏には『すがすがしい』とか『気持ちのいい』などと表現できる」とある。 したがって、気象キャスターは、「さわやか」を封印してこの時期を待つ。 今、「さわやか」が飛び交うのにはこのような事情があってのことである。 「暑さ寒さも彼岸まで」と言われるとおり、彼岸のころ暑さは一段落するのであるが、 本格的にさわやかさを実感できるようになるのは、10月に入ってからであろう。 それは、秋霖(しゅうりん、秋の長雨のこと)明けとも関係する。

図1

図は、大阪・東京の旬雨量の変化を、気候値(1981年~2010年まで30年間の平均)でみたものである。 夏から秋への季節の変わり目、9月の中旬~10月上旬にかけて、台風時期とも重なって雨の多い時期がある。 これが秋霖、10月中旬には秋霖明けとなる。東京も10月半ばには、台風が東にそれ影響が少なくなる。

今から、47年前、1964(昭和39)年10月10日東京オリンピックが開会された。東京育ちの私は、大学1年、その日の青空は今でもよく覚えている。

図2 図3

(財)日本気象協会、「天気図10年集成」より

執筆者紹介:

佐藤 英雄 (さとう ひでお) ・・ FIO会員、事務局担当のひとり

佐藤さんの写真 民間の気象会社に34年間勤務し、気象の観測・調査・設計、解説・予測などに従事。気象予報士でもあり、森林インストラクターの眼からみた「気象」のお役立ち情報を、月1回のペースで、わかりやすく解説します。