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木材の利用


 現代人は、森に住み木を使いこなしてきた先祖からそのDNAを受け継いできたのでしょうか。木に囲まれていると"心が落ち着き癒される"人が多いと思います。

 森林で生育している樹木は、その体内にたくさんの水分を吸収し貯蔵して生きています。そして、切り出された丸太は、乾燥した後、木材のさまざまな利点が引き出され、人々はそれをうまく生活に活用しています。

 木材の構造は、中心の古い赤身の部分を「心材(しんざい)」といい、変形が少なく強度もあります。外側の部分は「辺材(へんざい)」といい、細胞が新しく変形収縮の割合が多いために強度はやや劣ります。

 木材には、金属・ガラス・プラスチック製品などに比べて優れた性質があります。それは、軽くて柔らかく加工しやすい、香りが良い、目に優しい、感触が良い、断熱効果や温もりがあることなどです。ところが、腐りやすい、変形しやすい、キズが付きやすい、割れるなどの欠点もあります。適材適所の言葉通り、各樹種の性質を良く知って長所を活かした使い方をすれば、長期間安定して使用することができます。

 スギ、ヒノキを代表とする針葉樹は、建物の構造材として昔から多く用いられてきました。寺社などの歴史的木造建造物は数百年経ても現存しており、その強さを証明しています。ケヤキ、ナラ類、トチノキなどの落葉広葉樹は、美しい木目を活かして家具、彫刻、置物、器などに用いられ、生活にうるおいを与えています。カシ類などの常緑広葉樹は、堅くて緻密な特徴があり、工具材としてかんなの台・のみの柄・スコップの柄などに使用され日常の道具として活躍しています。

 現代は、木材を無垢の素材として使用するのではなく、何らかの加工を施すことによって強度を高めたり、反り返る・割れるなどの材の弱点を補強して用いることが多くなりました。また、接着剤の性能の発達により、小さな木片や薄い板を貼り合わせて集成材やベニヤ板を作り、安定した品質の製品として用途を広げています。