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日本の林業の現状とこれから

戦後、焼け野原になった日本の都市を再建するために、多くの木材が必要とされ、山の木がたくさん伐られました。そのお陰で木材価格も高騰し木材業界の景気は随分と良くなりました。さらに、都市開発や住宅建設に木材の需要が増したことや、土砂くずれを防ぎ水源の森を作るために、国を挙げてスギ・ヒノキを植えていきました。

しかし、市場は敏感に反応し、値段競争に有利で材の狂いが少ない乾燥した外材がカナダやアメリカから、そして、東南アジアからは節の無いきれいな南洋材が多く輸入されるようになりました。その結果、日本の木材は激しい価格競争に負け、山林は手入れもされないままに放置されることになりました。

今日、私たちは、土壌や水源を守り、二酸化炭素を吸収固定し、また、多くの生物に住む場所を提供し、さらには、レクリェーションの場となる森林を守るためにも、放置された多くの山林の手入れをしなければなりません。また、商品価値のある乾燥材や集成材を生産し、都市に森の恵みを移行する作業を、山村と都市が連携して取り組む時期に差し掛かっています。

日本の植林された木々の現実を見直し、大きな木を育てるために、残す木は残し、伐るべき木を放置せず伐って活用することを国民の「業(ぎょう)」として考えていく時代です。そのために私たちは、山林の根本的な取り扱い方を多くの知恵を出し合って、整理整頓する必要に迫られているのです。